大判例

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札幌地方裁判所 昭和49年(わ)659号 判決 1977年3月14日

1本店の所在地

北海道苫小牧市新中野町二丁目一番一八号

法人の名称

大成観光株式会社

代表者

代表取締役 兼松晴

2本籍・住居

北海道苫小牧市新中野町三丁目二番一三号

会社役員

兼松晴

昭和六年九月一日生

3本店の所在地

北海道苫小牧市新中野町二丁目一番一八号

法人の名称

株式会社 大成総業

代表者

代表取締役 安田正春

4本籍・住居

北海道苫小牧市花園町三丁目一三番地の一一

会社役員

山岡一男

大正一三年三月一〇日生

5本籍

北海道苫小牧市新富町一丁目一五番地の三四

住居

同市新富町一丁目四番一八号

会社役員

八嶋光彦

昭和一三年八月三〇日生

6本店の所在地

札幌市中央区北二条西一四丁目二番地の二

法人の名称

白熊総業株式会社

代表者

代表取締役 阿部吉三郎

7本籍

札幌市白石区菊水五条二丁目二番二六

住居

同市南区真駒内南町四丁目三番地の四

会社役員

阿部伸一

昭和一三年一一月二三日生

8本店の所在地

札幌市中央区南一〇条西一〇丁目一、二六九番地

法人の名称

有限会社 宝第一商事

代表者

代表取締役 高橋勇

9本籍

北海道室蘭市母恋南町一丁目二六番地

住居

札幌市中央区南九条西四丁目一番地の二

会社役員

高橋勇

昭和五年一一月二一日生

右大成観光株式会社に対する農地法違反・法人税法違反、兼松晴に対する農地法違反・法人税法違反・詐欺、山岡一男に対する農地法違反・詐欺、株式会社大成総業、八嶋光彦、白熊総業株式会社、阿部伸一に対する各農地法違反、有限会社宝第一商事、高橋勇に対する各農地法違反幇助、各被告事件について、当裁判所は検察官佐藤克、弁護人林信一各出席のうえ審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人兼松晴を徴役二年六月に、同山岡一男を懲役一年六月に、同八嶋光彦を懲役三月に、同大成観光株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、同株式会社大成総業を罰金三〇万円に、同白熊総業株式会社、同阿部伸一、同有限会社宝第一商事、同高橋勇を各罰金八万円に、それぞれ処する。

被告人阿部伸一、同高橋勇においてその罰金を完納することができないときは、いずれも金二、〇〇〇円を一日に換算した期間、その被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から被告人兼松晴および同山岡一男に対しいずれも三年間、同八嶋光彦に対し二年間、それぞれその刑の執行を猶予する。

訴訟費用は別紙訴訟費用負担表記載のとおりそれぞれ被告人らの負担とする。

被告人大成観光株式会社、同兼松晴、同株式会社大成総業、同山岡一男、同八嶋光彦に対する本件公訴事実中、北海道知事の許可を受けず、かつ法定の除外事由がないのに、昭和四七年七月三一日緑川博所有の北海道勇払郡厚真町浜厚真五八二番の採草放牧地を右緑川から被告人株式会社大成総業名義で買い受け、その所有権を右会社に移転させたとの点については、右被告人らはいずれも無罪。

理由

(罪となるべき事実)

被告人大成観光株式会社(以下大成観光という)は、苫小牧市新中野町二丁目一番一八号に本店を置き、不動産売買業、喫茶店、美容室の経営等を営むもの(資本金一、〇〇〇万円)、被告人兼松晴(以下兼松という)は、同会社の代表取締役としてその業務を統括しているもの、被告人株式会社大成総業(以下大成総業という)は、同所に本店を置き、不動産売買業を営むもの、被告人山岡一男(以下山岡という)は、同会社の専務取締役として、被告人八嶋光彦(以下八嶋という)は、同会社の常務取締役としていずれも同会社の不動産売買業務を担当しているもの、被告人白熊総業株式会社(以下白熊総業という)は、札幌市中央区北二条西一四丁目二番地の二に本店を置き、不動産売買業を営むもの、被告人阿部伸一(以下阿部という)は、同会社の専務取締役として同会社の不動産売買業務を統括しているもの、被告人有限会社宝第一商事(以下宝第一商事という)は、同市中央区南一〇条西一〇丁目一、二六九番地に本店を置き、不動産売買業等を営むもの、被告人高橋勇(以下高橋という)は、同会社の代表取締役として同会社の業務を統括しているものであるが、

第一  被告人兼松は、被告人大成観光の業務に関し、北海道知事の許可を受けず、かつ法定の除外事由がないのに

1  昭和四六年一一月八日ころ前記大成観光事務所において、阿部清から同人所有の苫小牧市字弁天二五〇番同二五四番一、同二五八番一および同二五九番の採草放牧地計五筆(面積合計一四万六、九八六平方メートル)を価格八、五四〇万八、〇〇〇円で買い受けてその所有権を被告人大成観光に移転させ、

2  同月一〇日ころ、室蘭市輪西町一丁 三二番地の八株式会社北海道相互銀行輪西支店において、株式会社日本企業ドック(代表取締役高山邦夫)に対し、阿部清から買い受けた右1の採草放牧地五筆を価格八、八七〇万八、〇〇〇円で売り渡してその所有権を移転し

第二  被告人兼松、同山岡、同八嶋は共謀のうえ、被告人兼松において被告人大成観光の業務に関し、被告人山岡、同八嶋において被告人大成総業の業務に関し、北海道知事の許可を受けず、かつ法定の除外事由がないのに、

1  昭和四七年六月二七日こは、北海道勇払郡鵡川町農業協同組合事務所において、緑川博から同人所有の同郡厚真町字浜厚真一八五番の採草放牧地一筆(面積四万九、五八六平方メートル)を価格四、八〇〇万円で被告人大成総業名義で買い受けて、その所有権を同会社に移転させ

2  同年七月二〇日ころ、前記大成総業事務所において、右土地を価格八、二五〇円で被告人大成総業から白熊総業に売り渡してその所有権を右会社に聊転させ

3  同年八月二六日ころ、勇払郡厚真町字京町所在「武ちゃん食堂」こと徳永武志方において、山下境次から同人所有の同町字清住六番の採草放牧地一筆(面積六万二、七五三平方メートル)を価格九、四九一万五、〇〇〇円づ被告人大成総業名義で買い受けて、その所有権を同会社に移転させ

4  同日同所において、飛渡孝市から同人と外一名の共有にかかる同町字浜厚真一八四番の採草放牧地一筆(面積四万九、五八六平方メートル)を価格七、五〇〇万円で被告人大成総業名義で買い受けて、その所有権を同会社に移転させ

5  同年九月一〇日ころ、前記大成総業事務所において、被告人大成総業から有限会社宝栄商事(代表取締役湯朝信)に対し、山下境次および飛渡孝市らから買い充けた右判示第二の3および4記載の採草放牧地二筆を価格二億五、四八七万二、五〇〇円で売り渡して、その所有権を移転し

第三  被告人阿部は、同白熊総業の業務に関し、北海道知事の許可を受けず、かつ法定の除外事由がないのに

1  昭和四七年七月二〇日ころ、前記大成総業事務所において、大成総業から同会社が前判示第二の1の経緯で買い受けた同土地を価格八、二五〇万円で買い受けて、その所有権を被告人白熊総業に移転させ

2  右同日前記宝第一商事事務所において、三国興産株式会社(代表取締役荒尾九一郎)に対し、右土地を価格八、二五〇万円で売り渡して、その所有権を移転し

第四  被告人高橋は、同宝第一商事の業務に関し

1  昭和四七年七月二〇日ころ前記大成総業事務所において、被告人兼松、同山岡、同八嶋の判示第二の2、被告人阿部の判示第三の1の各犯行に際し、その情を知りながら右被告人らのため該採草放牧地の売買契約締結の仲介をし

2  同日ころ前記宝第一商事事務所において被告人阿部の判示第三の2の犯行に際し、その情を知りながら右被告人および三国興産株式会社代理人安倍改造のため該採草放牧地の売買契約締結の仲介をし

3  同年九月二〇日ころ前記大成総業事務所において被告人兼松、同山岡、同八嶋の判示第二の5の犯行に際し、その情を知りながら右被告人らのために該採草放牧地の売買契約締結の仲介をし

もって右各被告人らのそれぞれの犯行を容易ならしめてこれを幇助し、

第五  被告人兼松、同山岡は、大成観光所有の北海道千歳市所在の土地売却のため上京し、日本熱学工業株式会社(以下日本熱学という)専務取締役城倉晃にその買受方を申し込んだが、資金繰りに窮していた同人に難色を示され、交渉を続けるうち、同社振出の融通手形を現金化したならばその見返りとして将来左土地の売買に応ずるとの感触を得、右城倉および同社従業員北岡勉ほか一名と共謀のうえ、知人の成田サノから、真実は商取引の裏付けのないいわゆる融通手形で、支払期日になんらの問題を生ずることなく決済できるとの確実な見込みがないのにかかわらず、あたかも日本熱学が大成観光から前記土地を購入し、その代金支払いのため振出した商業手形であるかの如く偽って、手形割引名下に金員を騙取しようと企て、前記山岡を右北岡を右土地の前地主の代表に仕立て、昭和四九年四月二六日ころ東京都大田区東矢口一丁目一一番地一七号所在の成田サノ方に赴き、同女に対し「千歳市平和の土地を日本熱学に売却し、その代金として一億円の日熱の手形を受取ったが、この土地の前地在に代金を現金で渡さないと名義の書き換えができないので手形を割引いて下さい。割引いてくれればあなた所有の植苗の土地を日本熱学が買上げてくれることになっている。」などと虚構の事実を申し向け、同女に対し、別表約束手形等一覧表記載のとおり同年同月二七日ころから同年五月八日ころまでの間、同女方において、日本熱学東京支店支配人牛田次郎振出しにかかる約束手形計六通(額面合計一億円)を手渡してその割引を求め同年四月二七日ころから同年五月一〇日ころまでの間、四回にわたり右成田方ほか一か所において、その旨誤信している同女から、手形割引金名下に現金合計五、〇〇〇万円および株式会社成田商工(代表取締役成田史朗)振出しにかかる額面四、三九三万一、〇〇〇円の小切手一通の交付を受け、それぞれこれを騙取し、

第六  被告人兼松は、被告人大成観光の業務に関し、法人税を免れるため不動産売上の一部を除外して仮名の簿外預金として蓄積するほか、現金・未収金・預け金を除外するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和四六年五月一日より同四七年四月三〇日に至る事業年度において、被告人大成観光の実際所得金額は別紙修正損益計算書記載のとおり金八、六〇〇万五、四一二円であって、これに対する法人税額は金三、一三四万四、三〇〇円であったのにかかわらず、同四七年六月三〇日、苫小牧市旭町三丁目四番一七号所在の所轄苫小牧税務所において同署長に対し、所得金額は金六六万三、一〇一円でこれに対する法人税額は金一八万五、六〇〇円である旨の内容虚偽の確定申告書を提出して、正規の法人税額との差額三、一一五万八、七〇〇円については法定の納期限内に納付せず、もって不正な行為により右同額の法人税をほ脱し、

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人兼松の当公判廷における供述

一、登記官作成の被告人大成観光、同大成総業、同白熊総業、同宝第一商事の各登記簿謄本

判示第一ないし第四の各事実につき

一、農地法違反・同幇助被告事件第一一回公判調書中の被告人兼松の供述部分および同被告人の検察官に対する昭和四九年九月一一日付供述調書

一、証人源津成久、同中村重信、同相馬政幸の当公判廷における各供述

一、農地法違反・同幇助被告事件第八回公判調書中の証人大野耕治の供述部分

一、右同事件第九回公判調書中の証人中井一朝の供述部分

一、公判手続更新前の裁判所の検証書

一、東日出男の検察官に対する供述調書(謄本)

一、北海道農地開拓部長の各支庁長・各市町村農業委員会長宛昭和二八年一二月二八日付「農地法関係事務処理要領」と題する書面

一、農林省農地局長の各都道府県知事宛昭和三八年七月八日付「登記官吏が地目を認定する場合における農地法との関連について」と題する書面

一、北海道農務部長の各支庁長・各市町村農業委員会長宛昭和四五年一二月一日付「農地法関係事務処理要領(既墾地の部)について」と題する書面(写)

判示第一の各事実につき

一、被告人兼松の検察官に対する昭和四九年二月九日付、同年六月二五日付、同年九月一七日付各供述調書

一、証人高山邦夫、同山下光男の当公判廷における各供述

一、高山邦夫の検察官に対する同年二月一三日付、同年九月一二日付各供述調書(いずれも謄本)および同人らに対する札幌地方裁判所昭和四九年(わ)第六六〇号農地法違反被告事件第九回公判調書中の同人の供述部分

一、農地法違反・同幇助被告事件第五回公判調書中の証人阿部清の供述部分

一、領置してある阿部清所有判示土地の登記済権利証(昭和五〇年押第四〇号の1)、売買契約書(同号の2)各一通

一、右同事件第六回公判調書中の証人野村勝美、同事件第七回公判調書中の証人山蔭行雄の各供述部分

一、検察官ら作成の昭和四九年七月一二日付判示第一の各土地についての実況見分調書(謄本)

一、登記官作成の苫小牧市弁天二五〇番二、同二五二番、同二五四番一、同二五八番一および同二五九番の各土地の登記簿謄本各一通

一、検察事務官作成の報告書(謄本)

判示第二ないし第四の事実につき

一、被告人高橋、同阿部の当公判廷における各供述

一、被告人兼松の検察官に対する昭和四九年九月一二日付(二通)、一三日付、同山岡の検察官に対する同年同月一日付(二通)、八日付、一一日付、一二日付、一八日付各供述調書

一、被告人八嶋、同高橋、同阿部の検察官に対する各供述調書

一、領置してある緑川所有の判示土地についての不動産売買契約書二通(同号の6の6、同号の9)、飛渡所有の判示土地についての不動産売買契約書(同号の7)、山下所有の判示土地についての不動産売買契約書(同号の7の4)、右飛渡、山下所有の判示土地についての不動産契約証書(同号の7の7)各一通

一、当殺判所の検証調書

一、証人高田守、同山下克彦に対する当裁判所の各尋問調書

一、証人木戸幸一、同安倍改造、同高橋芳次郎、同湯朝信の当公判廷における各供述

一、農表法違反・同幇助被告事件第二回公判調書中の証人山下境次、同事件第三回公判調書中の同緑川博、同事件第四回公判調書中の同若松弘道、同事件第六回公判調書中の同敦賀長平、同事件第八回公判調書中の同飛渡孝市の各供述部分

一、厚真町農業委員会長の山下境次、緑川博、飛渡清志宛「浜厚真国有地所管換地の現地調査結果について」と題する書面、山下境次作成の「農地(採草放牧地)買受申込書」「共同牧場利用計画書」と題する各書面(いずれも写)

一、被告人大成総業代表者安田正春作成の昭和四七年八月八日付(勇払郡厚真町字浜厚真一八五・五八二の各土地に関し)、同年一〇月四日付(同町字浜厚真一八五・五八二、一八四・五八三、五八一・同町字清住一・六の各土地に関し)各現地目証明願書(但し一〇月四日付の分は三通とも写)、およびこれに対する厚真町農業委員会長作成の同年八月二五日付(右八月八日付証明願書に対するもの)、同年一〇月二一日付(右一〇月四日付証明願書三通に対するもの)「農地法第三条の適用を受けない土地の証明について」と題する各書面(いずれも写)

一、登記官作成の勇払郡厚真町字浜厚真一八四、一八五、同町字清住六の各土地の登記簿謄本各一通

判示第五および第六の事実につき

一、証人成田サノに対する公判手続更新前の裁判所の尋問調書

判示第五の事実につき

一、詐欺被告事件第一二回公判調書中の被告人兼松の供述部分

一、右同事件第一一回公判調書中の被告人山岡の供述部分

一、被告人兼松の検察官に対する昭和四九年八月二日付、八日付、一二日付、同山岡の検察官に対する同年同月二日付、六日付、七日付、八日付、九日付各供述調書

一、証人宮森正昭の当公判廷における供述

一、詐欺被告事件第三回公判調書中の証人城倉晃の供述部分

一、右同事件第一〇回公判調書中の証人北岡勉の供述部分および同人の検察官に対する各供述調書

一、成田サノの検察官に対する供述調書(抄本)

一、日本熱学工業株式会社東京支店支配人牛田次郎の昭和四九年四月二六日振出にかかる約束手形六通(いずれも写額面合計一億円)

一、西田憲次(二通)、望月正二、田中慶次郎、手塚徹、河崎博美の検察官に対する各供述調書

判示第六の事実につき

一、第一四回公刑(法人税法違反関係)調書中の被告人兼松の供述記載

一、被告人兼松の検察官に対する昭和四九年九月五日付および同四九年九月一六日付各供述調書

一、被告人兼松の大蔵事務官に対する質問てん末書一三通

一、兼松晴、長谷川元敏両名作成名義の上申書三通

一、大蔵事務官三木田勝美作成の調査事績報告書六通

一、大蔵事務官堂守敏和作成の調査事績報告書四通

一、第六回公判調書中の証人村上満男の供述記載

一、第九回公判調書中の証人三木田勝美の供述記載

一、長谷川元敏の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、中町千恵子の検察官に対する供述調書および同人の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、兼松節子の検察官に対する供述調書

一、船戸安子、安田正春、兼松栄一(昭和四七年一一月一三日付)、兼松節子(昭和四八年二月九日付)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、藤野節子作成の昭和四八年二月九日付答申書

一、吉本一男、八嶋光彦、丹波岩吉、藤原義治、佐藤末男、大久保聡、大村勝久、中塚政太郎、渡辺二朗、高橋勇、柳沢岩治、島田基喜、田村東一、山下光男、広島亘作成の各答申書

一、高山邦夫、佐藤英毅(二通)、荒山清作成の各上申書、磯村義利作成の申述書および上申書

一、山本トミ、兼松節子(昭和四八年三月三〇日付)、阿部清(二通)、兼松栄一(昭和四七年一一月六日付)石井孝敬、福島信勝、田島進、成田サノの大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、阿部清の検察官に対する昭和四九年八月一三日付供述調書

一、証人成田サノ(二通)、同小川潔に対する各尋問調書

一、第八回公判調書中の証人佐藤英毅の供述記載

一、第一〇回公判調書中の証人山岡一男の供述記載

一、山岡一男の検察官に対する昭和四九年九月二日付(二通)、同年同月四日付、同一一日付、同一七日付各供述調書

一、北平久雄、小林美紀雄、舟橋英、水野光二、松井幹昌、広谷貞年、村上礼三郎、鈴木誥一作成の各答申書

一、安井春二、藪田照巳、佐藤好一、米山栄三、大和良二、沢守、鉄屋繁、竹村実作成の各証明書、山田正作成の答申書

一、中町慎一郎、藤野節子(昭和四八年三月二七日付)、阿部信一、大宮行逸作成の各答申書

一、大沢伝蔵の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、(株)大成観光の昭和四八年六月三〇日付確定申告書謄本

一、札幌国税局徴収部長作成の「告発法人の納付状況について」と題する書面

一、苫小牧税務署長作成の(株)大成観光に対する法人税決議書謄本および法人税額等の更生通知書謄本

一、登記官川又二三男作成の被告人大成観光株式会社の登記簿謄本

一、押収してある法人税決議書一冊(昭和五〇年押第四〇号の一七)、元帳一冊(同号の一八)、経費明細帳一冊(同号の一九)、決算資料一冊(同号の二〇)、経費領収書綴一二冊(同号の二一)、伝票綴一冊(同号の二二)、受領書綴一冊(同号の二三)、売買契約書外の綴一綴(同号の二六)、領収書四綴(同号の二八ないし三〇、三二)、契約書関係書類一冊(同号の三一)、利息計算書綴一綴(同号の三三)、昭和四七年領収書綴一冊(同号の三四)、不動産関係書類一綴(同号の三五)、預り書一通(同号の四四)、メモ一綴(同号の四五)、支払利息計算書等綴一綴(同号の四六)、ノート一冊(同号の四八)、領収書綴一綴(同号の四九)領収証一枚(同号の五一)、札幌土地関係書類一冊(同号の五二)、領収証二枚(同号の五三、五四)、借用証一枚(同号の五五)、領収書綴二綴(同号の五六、五七)、領収証綴一綴(同号の六一)

(法令の適用)

被告人兼松の判示第一の1および2の各所為はいずれも農地法九二条、三条一項に、同大成観光については右各法条に加えてさらに同法九四条に、被告人兼松、同山岡、同八嶋の判示第二の1ないし5の各所為は同法九二条、三条一項、刑法六〇条に、被告人大成観光、同大成総業については右各法条に加えてさらに農地法九四条に被告人阿部の判示第三の1および2の各所為は同法九二条、三条一項に、被告人白熊総業については右各法条に加えてさらに同法九四条に、被告人高橋の判示第四の1ないし3の各所為は同法九二条、三条一項、刑法六二条一項に、被告人宝第一商事については右各法条に加えてさらに農地法九四条に、被告人兼松、同山岡の判示第五の所為は刑法二四六条一項、六〇条に、被告人兼松の判示第六の所為は法人税法一五九条一項二項(七四条一項二号、六六条一項、二項、昭和四九年三月法律一七号による改正前の租税特別措置法四二条一項)に、被告人大成観光については右各法条に加えてさらに同法一六四条一項に、それぞれ該当するので、被告人兼松の判示第一の1、2、判示第二の1ないし5、判示第六の各罪、および被告人山岡、同八嶋の判示第二の1ないし5の各罪につき、いずれも所定刑中徴役刑を、被告人阿部の判示第三の1、2の各罪および被告人高橋の判示第四の1ないし3の各罪につき、いずれも所定刑中罰金刑を選択し、被告人高橋および同宝第一商事の各罪については従犯であるからいずれも刑法六三条、六八条四号により法律上の減軽をし、被告人ら各自の以上の各罪は、同法四五条前段の併合罪なので被告人兼松、同山岡については同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第五の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人兼松を徴役二年六月に、同山岡を徴役一年六月にそれぞれ処し、被告人八嶋については同法四七条本文、一〇条により最も犯情の重い判示第二の5の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、右被告人を徴役三月に処し、被告人大成観光、同大成総業、同白熊総業、同阿部、同宝第一商事、同高橋勇については、いずれも同法四八条二項により、各被告人の各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、被告人大成観光を罰金一、〇〇〇万円に、同大成総業を罰金三〇万円に、同白熊総業、同阿部、同宝第一商事、同高橋勇を各罰金八万円に、それぞれ処し、被告人阿部、同高橋においてその罰金を完納することができないときは、同法一八条によりいずれも金二、〇〇〇円を一日に換算した期間その被告人を労役場に留置することとし、被告人兼松、同山岡、同八嶋について、情状を考慮し、同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から、被告人兼松および同山岡に対しいずれも三年間、同八嶋に対し二年間、それぞれの刑の執行を猶予し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により、それぞれ主文のとおり被告人らに負担させることとする。

(弁護人の主張に対する判断)

第一農地法違反に関して

1  判示各土地の採草放牧地性

前掲各証拠によれば、次のような事実が認められる(以下において苫小牧市字弁天地籍の土地は単に弁天勇払郡厚真町字浜厚真、同町字清住地籍の土地は単に浜厚真、清住と略称する。

(一) 弁天の各土地は、阿部清が昭和三五年ころ国から払下の予約を受け、同四〇年三月三一日付で正式に払下げを受け所有するに至ったもので、同人は右土地を牧場として酪農を営むべく、入植当時雑草が生い繁っていた右土地を整地して牧草を播種し、これに施肥してチモシー、オーチャード、クロ ー等の牧草を育て、道路に面する部分に電気牧柵を設けて管理し、その後同四六年一二月本件土地売却を契機に廃農するまで、右土地を一括牧場として利用してきた。具体的には、弁天二五八の一、二五九の土地は、一面にチモシー、ラデノ、赤クロバー等永年草の牧草が生育していたので、ここに牛等を放牧し、同二五四の一、二五二の土地についても大部分は同様の状態で利用し、東側の一部には家畜の飼料となる根菜類を植えており、また同二五〇の二の土地は、主として冬期間の家畜の飼料用牧草場として、秋に前同様の牧草類を刈り取るなどして利用していた。なお同二五八の一の土地の南側には住宅、牛舎、豚舎、サイロ、農機具収納の小屋等があり、住宅付近は一部野菜畑としていた。

(二) 浜厚真、清住の各土地は、国道二三五号線の南側に沿って、西から順に飛渡孝市所有の浜厚真一八四、緑川博所有の同一八五、山下境次所有の清住六と続く細長くかつ平坦な土地で、南側に接続する土地との境界はほぼ東西に一直線となり、この境界のやや南寄りにこれもほぼ東西に一直線の顕著な段差があり、前記三筆の土地はこの段差の北側に位置し、その南側に比し高地となっており、表土は黒土、その下層はは火山灰土である。右三名はいずれも各所有地を農耕馬の放牧場として利用してきたが、昭和四一年一一月一日付で各所有地の地続きの国有地の払下を受けるに至って、これら払下にかかる土地および山下所有の清住一とともに一括して三名共同でこれを牧場として利用することとし、その管理のために周囲に杭を打ち、有刺鉄線を張り、春毎に破損箇所を補修するなどしていた。その間清住六の土地に牧草を播種したこともあったが前記三筆全体に亘ることはなく、自生の草が多かったが、春焼をするなどの手入れをしていたこともあり、灌木類はなく、比較的丈の短かい草が一面に生育し、チモシー等牧草類も散見される状態であった。三名はこのように共同して右土地を利用し、近隣農家の農耕馬を預るなどして一時は約二〇頭程をこれに放牧していたが、農業の機械化により馬の飼育がすたれ、昭和四六年には八頭程になり、同年秋には緑川、飛渡が放牧を打ち切り、翌四七年には山下のみ二頭を放牧したが、本件売買の話が具体化して同年七月には山下も放牧を打ち切った。

以上によれば、判示の各土地は、各売買当時所有者において牧場として有効利用を全うするような十分な管理を尽していたとはいい難い面もあるが、一応牧場としての利用を継続しており、かつ労力を費せば容易に有効利用を図ることができる状態にあったものであり、飼料となるべき牧草、雑草の生育状況、牧柵等による管理状況等を照らし、これが農地法二条にいう採草放牧地に該当することは明白である(このように客観的に右土地が採草放牧地であることが明らかである以上、所有者がその時点において現実にこれを牧場として利用しているか、あるいは将来においてもこれを継続する意思があるか、等の点は問題とならない。また該土地がいわゆる苫小牧東部開発計画の範囲内に、あるいは二次買収予定地の範囲内にあり、将来工業用地になるであろうという見込みがあるからといって、直ちに該土地が農地法の規制から免れることになるものではない。北海道農地開拓部の各支庁長・各市町村農業委員会長宛「農地法関係事務処理要領」と題する書面によれば、行政レベルにおいても農地又は採草放牧地であるか否かの判定については厳正な現況主義によるべく、付近の宅地化の度合あるいは土地区画整理事業施行の有無等によって左右すべきではないとされていることが窺われる。)

2  採草放牧地であることの認識について

前掲各証拠によれば、被告人らはいずれもその関与する各売買契約に先立って、該土地を見分しており、その客観的な形状についての認識は十分にあったことを認めることができる。そうである以上前記のとおりの状態を有する土地が農地法二条に言う「採草放牧地」に該当し、その所有権移転に法規制を受ける土地である、というまでの認識を要せず、同法違反の故意は成立するというべきである。また仮りに、かように該土地を知事の許可なく売買することが違法であると意識する可能性があることは必要である、と解しても、弁天の土地については、確かに登記簿上の地目は原野となっているものの、現に阿部清の所有、使用している牧舎、サイロ、住宅等を中心に、電気牧柵にかこまれた平坦地に牧草が生育している状況を認識しているのであるから、該土地が採草放牧地であり、従って知事の却可を受けることなくこれを売買することが違法であると意識する可能性は十分存していたというべきで、また浜厚真、清住の土地についても、登記簿上の地目は牧場であり、現に牧柵が存在し、平坦地に牧草を混じえた丈の短い草がほぼ均等に生育している状態を確認しているのであるから、多少荒廃してはいるものの、これが牧場であるとの認識を有する可能性は十分あったものと認められる(被告人らの検察官に対する各供述調書によれば、未必的にせよ、いずれも該土地が牧場であることの認識を有していたことが認められる。)

なお弁護人は、北海道がいわゆる苫東開発のため用地に当ってなした不手際をも被告人らの違法性の意識もしくはその可能性を欠いていたとの主張の根拠とするが、なるほど北海道において、いったん業者不介入の原則を採り、業者に自粛を要請しながら、買収困難な状況に当面するや、一変して大手商社に農地非農地の別なくその買収に協力を要請し、これが一端となって本件事犯の一部が惹き起こされた経緯も窺われるが、かかる事情も、本件各犯行の情状としてはともかく、直ちに右違法性の認識もしくはその可能性を否定させる根拠になるとは思われない。

3  弁天の土地売買の当事者

弁護人は、弁天の土地の売買については、昭和四七年一二月六日に念書が作成された時点のみを重視すべきで、法による規制もこの時点における実質的当事者に対しなされるべきであり、阿部が売主、株式会社日本ドックが買主で、被告人大成観光は単に仲介者にすぎないと主張する。しかし農地法違反についての第五回公判調書中の証人阿部清の供述部分および同事件第七回公判調書中の証人山蔭行雄の供述部分を総合すれば、阿部清および同人の協力者であった山蔭行旭も共に右株式会社日本企業ドックを買主として意識したことは全くなく、右企業ドックの代理人として行動した山下光男を被告人大成観光の従業員と思っていたこと、念書の買受人欄は同年一二月六日時点では空白のままであったことが認められるのであって、阿部としては当初の被告人兼松との交渉経過よりして、あくまで被告人大成観光へ売却したと認識していたことが明らかで、結局右念書は中間省略登記のための方策としての意味しか有しないと認めるのが相当である。また被告人兼松が当初から転売を目的としており、阿部への代金支払いが右転売による代金を以て当てられているけれどもこれがため売買当事者に変更を生じたと見るべき事案でもないというべきである。

4  浜厚真、清住の土地売買について

(一) 弁護人は、浜厚真一八五の土地について被告人白熊総業は単に名義上買主となったのみで、実質は仲介であって正犯たり得ないと主張するようであるが、被告人阿部伸一が当公判廷で供述するところによれば、白熊総業は三国興産株式会社に該土地の所有権を確実に取得させるという責任を明確にするために、単に仲介するに留まらず、自ら中間に買主となって入ったというのであり、また前掲各証拠によれば、白熊総業が売買当時者名義となって契約書を作成し、該土地の仮登記は右白熊総業名義のままであることが認められる。そうすると、内部的にはともかく対外的には右会社が売買当事者であることは明らかであり、単に右のような内実を有するからといって、農地法の罰則の適用を免れることができないといわねばならない。

(二) 弁護人は、浜厚真一八四、清住六の土地について、被告人大成総業から有限会社宝栄商事への売買は、その実質は融資をうけるについての譲渡担保であると主張するが、証人湯朝信の当公判廷における供述および被告人兼松の検察官に対する昭和四九年九月一三日付供述調書、同高橋勇の検察官に対する同年同月五日付、二一日付、同年一〇月二一日付各供述調書、同山岡の検察官に対する同年九月一二日付、一八日付各供述調書、該土地に関する土地売買契約書(写)等によれば、同日付の苫小牧市美沢、柏原、千歳市平和等の土地の一括売却についてはかかる担保的実質あるいは買戻特約等を意識してなされたようであるが、本件土地については、ただ宝栄商事の事後の転売の技術的問題として買戻しの可能性が話し合われたにすぎなく、そのことについても確定的な取り決めとはならず、したがって契約書にも、前記のような担保的実質あるいは買戻特約の存在を窺わせるに足るような記載は全くないのであり、弁護人の主張はその前提を欠くのみならず、仮りにかかる実質があっても農地法規定の罰則の適用を免れることができない理は(一)と同様である。

第二詐欺について

1  欺罔行為と金員等交付の因果関係

弁護人は、いわゆる融通手形を商業手形と偽ったのみでは詐欺行為として十分でなく、また本件において成田サノが割引に応じたのは日本熱学工業株式会社の信用に重きを置いたためであるから、欺罔行為と評し得ても、これと該金員等交付の間に因果関係はないと主張する。

しかしながら、前判示のとおり被告人兼松、同山岡らは、単に融通手形を商業手形であると偽ったにとどまらず、土地売買代金支払のために振り出されたものであることをとりつくろうため、共犯者を前地主の代表者に仕立てるなどの手段を弄しているのであり、もはや取引において通常許容される程度のかけ引きとはいえず、取引における信義則を大きく逸脱した違法なもので、これを以て詐欺罪における欺罔行為と評価するに何の妨げもないというべきである。

また前掲証拠就中成田サノの検察官に対する供述調書および証人成田サノに対する尋問調書によれば、成田サノが該手形の割引に応じた最大の理由は、従前から一四、五回の土地の取引を通じて知り合っていた被告人兼松、同山岡が土地代金支払の手形であると確信し、しかもかかる土地売買の存在を窺わせるかのように前地主の代表者と称する者が同行していたこと等により、これが真実土地売買の裏付けを有するいわゆる商業手形であると信じたからであると認められる。確かに、その際該手形が日本熱学の振出にかかるものであり、同会社が今や東証一部上場が予定されている会社であるとの説明を受け、その点につき自らも若干調査し、支払の確実なものと考えた経過も認められるが同女の前記供述および供述記載によれば、かかる考慮もあくまで該手形が商業手形であることを前提として、振出人の決済能力を考えたにすぎなく、仮に真実を告げられていたならば決して割引には応じなかったというのであり、融通手形は一般に決済される裏付けがない危険なもので、とかくトラブルの生じやすいものであるという社会通念および同女が金融業者でもない私人であること、割引いた手形の額面合計は一億円という高額なものであること等に照らせば、その述べるところは十分信用に値するといわねばならない。以上のとおり判示欺罔行為と金員等の交付の間には因果関係を認めることができる。

2  被告人兼松、同山岡の故意について

弁護人は、右被告人らは本件手形が満期に間違いなく決済され、したがって成田サノには何ら損害を与えることはない、と信じていたのであるから、右被告人らに詐欺の故意はなかったと主張する。

しかし、詐欺の故意は、本件に則して言えば、判示したとおりの可罰的な欺罔行為をなし、これにより相手方である成田サノを錯誤に陥れ、よって該手形の割引を受けるという認識があれば足りるのであって、それ以上に同女に実害を与えることの認識までは要しないことは明らかであり、右実害を与えることの認識あるいは意図は単に情状としての意味を有するにとどまる。のみならず、右主張がさらに同女に実害を与えない以上該手形を商業手形と説明するか融通手形と説明するかは単に割引を受ける一方策にすぎず、仮に真実を告げたとしても、説明を尽くせばやはり割引に応じたであろうから、結局判示欺罔行為は同女の割引に応ずる意思の形成に重要性を有しない、と信じていたというのであれば、なにゆえ判示のように共犯者を前地主の代表者に仕立ててまで該手形が商業手形であるように演出しなければならなかったのか疑問であり、また被告人兼松が当公判廷において、一流会社である日本熱学の専務取締役たる城倉の言を信じたと述べるところも、逆に、それまで一面識もない地方の一不動産業者である同被告人といとも簡単に会い、資金繰りの相談を持ちかけ、更に判示のような信義に反するような策を弄することまで謀議していること、同被告人を右城倉に紹介した伊藤一についても信用できない人物と考えていたこと、等に照らせば、むしろ同被告としては同会社の資金繰りが極度に苦しく、外面の華やかさと反対に不安定な経営状態にあることを察知していたと見るのが相当であり(同被告人の検察官に対する昭和四九年八月八日付供述調書、北岡勉の検察官に対する同年同月九日付供述調書)、さらに、同被告人が、確実に決済されると信じたからこそ、自らも該手形に裏書きをしたと述べる点も、同被告人の経営する大成観光は、当時多くの土地を抱え込んでいたものの転売できず、運転資金に窮していたのであり、さすれば同被告人が資金調達のため多少危険なことにも敢えて手を出すという心理になったと考えることも十分合理的である(同被告人の前記供述調書)。

このように検討してみると、被告人らはいずれも該手形の決済について必ずしも確信を持っていなかったものであり、成田サノに真実を告げれば割引を拒否されることを恐れたために、判示のような欺罔手段を講じたものと認めるのが相当であって、弁護人の主張は、いずれも採るを得ない。

第三法人税法違反について

弁護人は、被告人大成観光に対する法人税法違反の訴因につき、無罪であるといい、その事由としておおよそ次のとおり主張する。

「(一) 検察官の冒頭陳述書の別紙2「ほ脱所得の内容」番号<16>によれば、同欄掲記の札幌市簾舞所在の土地に関する、(株)北興信用商事と成田鉄工(株)との間の売買の斡旋収入として金九、三一六万九、〇〇〇円が本件事業年度の不動産売上高に計上され、なおこれに関ずる必要経費として金四、一七六万九、〇〇〇円が同事業年度の損金として計上されている。しかし右売買の斡旋による収入は北興信用商事と被告会社間の昭和四七年二月二八日付土地販売委託契約に基づく利益分配としてなされたものであるところ、右契約において、右利益配分は、成田鉄工が北興信用商事に対し右土地買受代金の一部金一億八、〇五八万三、〇〇〇円の支払のために振出した約束手形の決済が行われたときに行うとされていたところ、北興信用商事において右手形の成立を委任していた銀行から右手形金の入金案内をうけたのは昭和四七年五月一日であったから、被告人大成観光の北興信用商事に対する右利益配当請求権は同日確定し、かつその履行期が到来したものである。従って、右利益配分による収益およびこれに関連する前期必要経費はいずれも翌事業年度に属すべきものであって、本件事業年度に属すべきものではない。

(二) また被告人大成観光は、成田鉄工が右土地を北興信用商事から代金二億八、〇五八万三、〇〇〇円で買受ける際、被告人会社においても右代金の一部を負担することにして金五、〇〇〇万円を成田鉄工に支払い、その際成田鉄工との間で協定を結び、被告人会社は三〇日以内に右土地を他に転売するための斡旋を行うこと、もし転売ができないときは右五、〇〇〇万円は違約金として成田鉄工に没収されることなどの約束をしていたところ、その後、約定の期間内に転売の斡旋ができなかったことなどにより昭和四七年三月二七日右五、〇〇〇万円は成田鉄工に没収され、被告人会社は同額の損失を蒙った。もっともその後同年六月九日被告人会社の斡旋により成田鉄工は右土地を大和観光株式会社に代金四億一、五〇〇万円で転売することができたので、成田鉄工ではすでに没収した五、〇〇〇万円を復活させ、被告人会社に対しこれを支払ったが、これは翌事業年度内のことであり、これによって本件事業年度内に金五、〇〇〇万円が没収された事実を左右するものではない。従って本件事業年度の損金として右五、〇〇〇万円を計上すべきである。

以上(一)、(二)によれば、本件事業年度につき法人税所得はないこととなるので、法人税のほ脱はない。」

しかしながら、弁護人主張の右(一)については、前掲各証拠によると、(イ)右土地は北興信用商事において昭和四七年一月二四日札幌市西豊平農業協同組合から代金九、四二〇万円で買受けたものであるが、右土地について同月二八日北興信用商事と被告人会社との間で仕切価格を金一億八、〇五八万三、〇〇〇円として被告人会社がこれを他に転売すること、転売価格が右仕切価格をこえた場合には、その超過部分を利益配分として被告人会社の所得とする旨の土地販売委託等契約が結ばれたこと、(ロ)右契約に基づき被告人会社において転売の斡旋を行った結果、同年二月一七日北興信用商事と成田鉄工との間で右土地を代金二億八、〇五八万三、〇〇〇円で売買する旨の契約が結ばれ、同月二八日成田鉄工では右代金のうち金一億円を銀行小切手で支払い、残額について満期を同年四月二七日、支払場所を静岡銀行川崎支店とする約束手形を振出してこれを北興信用商事に交付するとともに、同日右土地について北興信用商事から成田鉄工に対する所有権移転登記も経由されたこと、(ハ)右銀行小切手金一億円はすぐ支払われ、また右金一億八、〇五八万三、〇〇〇円の約束手形についても北興信用商事において札幌信用金庫月寒支店に取立の委任をした結果、満期の翌日である同年四月二八日額面全額の金員が支払われて決済され、同日成田鉄工側から電話で北興信用商事に対し決済した旨の通知がされたが、銀行からの正式の決済の通知は四月二九日と翌三〇日が偶々休祭日による連休にあたっていたため、五月一日に北興信用商事に到達したこと、(ニ)右土地販売委託等契約に基づく利益配分として北興信用商事から被告人会社に対し同年二月二九日から五月一日までの間に数回にわたって金九、三一六万九、〇〇〇円が支払われたこと、以上の各事実を認めることができ、これによると被告人会社において右販売委託等契約に基づく利益分配金の全額を北興信用商事から受領し終ったのは、被告人会社の昭和四七年五月一日から昭和四八年四月三〇日までの事業年度すなわち翌事業年度内であるが、右販売委託契約が結ばれたのも、これに基づく売却の斡旋により北興信用商事と成田鉄工間に売買契約が成立したのも、いずれも被告人会社の本件事業年度内であり、なお右代金の支払いおよび所有権移転登記も同事業年度内に完了し、ただ約束手形の決済の正式の通知が前記の事情から翌事業年度内に持ちこされそのため北興信用商事からの利益配分の清算も同日になったというにすぎないから、右土地販売斡旋による被告人会社の収益は、本件事業年度内における企業活動によって確定的に発生したものとして同年度内の収入に計上されるべきことは明らかであり、弁護人のこの点の主張はとうてい採用することができない。

次ぎに弁護人の主張(二)について検討すると、前掲各証拠とくに成田サノの大蔵事務官に対する質問てん末書、証人成田佐乃に対する尋問調書二通、証人小川潔に対する尋問調書、押収してある札幌土地関係書類綴(昭和五〇年押第四〇号の符五二号)、領収書二通(同押号の符五三、五四号)、借用証(同押号の符五五号)、領収証綴(同押号の符五七号)などによると、(1)前記のとおり被告人大成観光の代表者である被告人兼松の斡旋により成田鉄工では北興信用商事から前記札幌市簾舞所在の土地を代金二億八、〇五八万三、〇〇〇円(坪当り約九〇〇円)で買受けたが、その際、被告人会社では右土地代金の一部を負担することとし金五、〇〇〇万円を成田鉄工に対し支払い、昭和四七年二月二六日付協定書(前記符五二号綴りのうちの一枚目)を作成し、(イ)成田鉄工と被告人会社とは右支出金額に応じて右土地に対する持分権を持ち合うこと、(ロ)被告人会社は右土地を三〇日以内に成田鉄工の承認する単価で他に転売すること、(ハ)もし転売できないときは被告人会社は坪当り金一、二〇〇円の割合による代金で成田鉄工の右持分権を買取ること、(ニ)被告人会社がこれを実行しないときには、右五、〇〇〇万円は成田鉄工の所得とすることなどの約束をしたこと、(2)被告人兼松は右約旨に基づき右土地を転売すべく奔走したが、右約束の期間内に転売はできなかったこと、しかし被告人兼松においてその後も転買先を求めつゞけ、その結果、一たん同年五月九日成田鉄工と株式会社北地連との間で右土地を代金四億一、五〇〇万円で売買する旨の覚書が作成されたりしたが、本契約にいたらず、同年六月九日にいたって漸く、被告人会社の斡旋により成田鉄工と株式会社大和観光との間で右土地を代金四億一、五〇〇万円で売買する旨の契約が結ばれたこと、(3)右金五、〇〇〇万円に関しては、当初、前記(1)のとおりの協定がなされていたが、前記三〇日以内に転売することの見込みがたたなくなった同年三月二七日、成田鉄工側の成田サノが被告人兼松と話合い、右土地についての被告人会社の持分権の代金として右五、〇〇〇万円を受領した旨の約定を、同約定の時点に遡って無効ならしめるとともに、右土地についての権利一切は成田鉄工に帰属し被告人会社がこれに持分権は有しないこととし、かつ被告人会社においては今後も成田鉄工のため右土地の転売先をみつけるため努力すること、右五、〇〇〇万円は右土地が転売されその契約が完了するまで、成田鉄工側において預ることとする旨の合意をしたこと、従って被告人会社が成田鉄工側に対し右五、〇〇〇万円を渡した趣旨については、右のとおり三月二七日を境として変更が生じたが、右五、〇〇〇万円が成田鉄工側により没収された事実はないこと、その後成田鉄工側では被告人兼松の要請に従い、右土地について成田鉄工と北地連との間に売買の覚書がかわされた同年五月九日、右五、〇〇〇万円のうちから金一、〇〇〇万円を貸付の形式で被告人会社に仮払いし、次いで成田鉄工と大和観光との売買契約が結ばれた後の同年六月一二日金一、五〇〇万円、同月一九日残金二、五〇〇万円を各返還したこと、おおよそ以上のとおりの事実関係であったことが認められる。公判調書中の被告人兼松、証人山岡一男の各供述記載、被告人兼松の検察官に対する前掲各供述調書中、右認定に反する部分は信用しがたく、その他本件全証拠をもってしても右認定を左右することができない。以上のとおりであるから、被告人会社において本件事業年度内に成田鉄工側により金五、〇〇〇万円を没収され同額の損金が生じた旨の弁護人の主張も採用できない。

(一部無罪の理由)

本件公訴事実中、浜厚真五八一、五八三および清住一の計四筆の土地に関する農地法違反、同幇助の点は、致告人大成観光、同兼松、同大成総業、同山岡、同八嶋について、被告人兼松は同大成観光の、同山岡、同八嶋は同大成総業の各業務に関し、共謀のうえ北海道知事の許可を受けず、かつ法定の除外理由がないのに、(A)昭和四七年七月三一日ころ前記大成総業事務所において、緑川博から同人所有の浜厚真五八二の採草放牧地一筆を被告人大成総業名義で買い受けてその所有権を同会社に移転させ(昭四九、一〇、二六付大成観光外四名に対する起訴状第二、一、2関係)、(B)同年同月二〇日ころ前記大成総業事務所において、右浜厚真五八二の土地を被告人大成総業から同白熊総業へ売り渡してその所有権を移転し(同起訴状第二、一、3関係)、(C)同年八月二六日ころ勇払郡厚真町字京町所在「武ちゃん食堂」こと徳永武志方において、山下境次から浜厚真五八一、清住一の各採草放牧地を被告人大成総業名義で買い受けてその所有権も同会社に移転させ(同起訴状第二、二、1関係)、(D)同日同所において、飛渡孝市から浜厚真五八三の採草放牧地を被告人大成総業名義で買い受けてその所有権を右会社に移転させ(同起訴状第二、二、2関係)、(E)同年九月二〇日ころ、前記大成総業事務所において、右浜厚真五八一、五八三、清住一の各採草放牧地を、被告人大成総業から有限会社宝栄商事に売り渡して、その所有権を移転した(同起訴状第二、二、3関係)というのであり、被告人白熊総業、同阿部伸一については、被告人阿部伸一は同白熊総業の業務に関し、北海道知事の許可を受けず、かつ法定の除外事由がないのに、(F)同年七月二〇日ころ前記大成総業事務所において、大成総業から前記浜厚真五八二の土地を買い受けて、その所有権を被告人白熊総業に移転させ(昭四九、一〇、二六付、白熊総業、阿部伸一に対する起訴状第一関係)、(G)同日前記宝第一商事事務所において、被告人白熊総業から三国港産株式会社に右土地を売り渡してその所有権を移転した(同起訴状第二関係)というのであり、被告人有限会社宝第一商事、同高橋については、被告人高橋は同宝第一商事の業務に関し、(H)浜厚真五八二に関する右大成総業へ、(I)白熊総業から三国興産株式会社への各所有権移転および(J)右浜厚真五八一、五八三、清住一に関する大成総業から有限会社宝栄商奉への各所有権移転について、その情を知りながら前掲各関与被告人らのために各採草放牧地の売買契約締結の仲介をし、もって各被告人らのそれぞれの犯行を容易ならしめてこれを幇助した(昭四九、一〇、二六付、宝第一商事、高橋に対する起訴状第一ないし第三関係)

というのである。

しかし審理の結果によると、右四筆の土地は以下に述べるようにこれを農地法に定める「農地」あるいは「採草放牧地」と認めるに足りる証拠はない。すなわち

前掲各証拠によれば、右四筆の土地は前記浜厚真一八四、一八五、清住六の各土地の南に接し、西から東へ順に浜厚真五八三、五八二、五八一、清住一と連なる細長い土地で、登記簿上の地目はいずれも牧場となっており、その南は海浜であること、浜厚真五八一、五八二、五八三の土地は元国有地であったが、浜厚真一八四を所有していた飛渡孝市、同一八五を所有していた緑川博、清住一および六を所有していた山下らは、いずれも以前から各所有地に南接する国有地を取り込んで、各所有地での放牧の便宜に供していたところ、昭和四一年一一月一日付で、山下は五八一を、緑川は五八二を、飛渡は五八三を、いずれも該土地に馬を放牧して使用する条件で、国から払下げを受けてこれを所有するに至り、その後三名共同して杭を打ち有刺鉄績を張りめぐらし、春毎に右柵の補修をしたりして、旧所有地と一体となった管理を継続して来たこと、しかしながら土地の形質を見ると、北側に位置する浜厚真一八四、一八五、清住六の三筆の土地(以下、北側三筆という)と、南側すなわち海側に位置する問題の四筆の土地(以下、南側四筆という)とは、ほぼその境界付近を境にして全く様相を異にしていること、つまり、北側三筆の土地と南側四筆の土地の境界は多少判然としないところがあるものの、ほぼ東西に一直線となっており、その付近に顕著な段差ぎ存在し、該四筆の土地はその大部分が低地を構成することになり、ほぼ完全な砂地で、右段差付近には浜ナスが密生し、砂地には、海寄りになるほどコウボウムギ等の海浜植物が散見されるのみで、家畜が常食とする牧草、雑草の類は殆んど生育していないのみならず南限付近では小砂丘状を呈する部分もあるほどで、完全に砂浜状を呈しているといってもよい状態であること、これに比べて北側三筆の土地は既に認定したとおり、ほぼ完全な平担地で、表土は黒土、下層は火山灰土で、全体にわたり灌木もなく、家畜の常食する牧草あるいは自生した雑草の類が一様に生育しており、これを採草放牧地と認めるのに何の妨げもない状況であること、前記飛渡外二名が共同し全一体として管理していたこれら七筆の土地の面積は、登記簿合計四三万四、一一五平方メートル、うち南側四筆の合計は二七万二、一九〇平方メートルで、右全体に占める面積割合は、六二パーセント強であること、を認めることができる。

以上のとおり、南側四筆の土地は、肥培管理をして牧草を栽培していたわけではないから、これが農地法二条にいう「農地」に当らないことは明らかであるが、さらに同条にいう「採草放牧地」に当るか否かを検討する。ところで採草放牧地とは、同条で定義するように、「農地以外の土地で主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるもの」であるが、既に述べたとおりその判定は、登記簿の地目あるいは所有者の主観的意図とは別に、その土地の現況に基づいて客観的になされるべき事柄であることは言うを俟たない。そして右に「目的に供される」というのは、その土地自体が直接に採草や放牧に使用されるという趣旨であり、本件についてみれば、農耕馬等を放牧するのに直接に使用されていることが必要である。ここに「放牧」というのは、「家畜の事業のための採草」と対比して理解すべきもので、採草のうえこれを家畜の飼料として供するという労を費やすことなく、該土地に家畜を放して、直接に草を食べさせてその飼料とする方法を言うのであるから、右「放牧」の目的に沿うには、家畜の飼料として方法を言うのであるから、右「放牧」の目的に沿うには、家畜の飼料となるべき牧草等の生育が不可欠の前提となるというべきである。しかるに本件の四筆の土地は前記認定のとおり殆んどが砂地であって、牧草の生育に不適な土地であり、現実にその生育は全く見られなく、ただ飼料として不適な雑草あるいは海浜植物が群生しているのが散見されるのみであって、殊に南側部分においては殆んど砂地が露出している有様で、とうてい家畜の飼料をまかなう目的にかなう土地とはいえない。なるほど検察官の主張するように、右のような雑草や海浜植物等についても牛馬がこれを食することはあろうが、かかる事実のみをとらえて該土地を農地法にいう採草放没地というならば、およそ採草放牧地たらざる土地はないといわなければならない。さらに検察官は、該土地が馬の運動のために有用であると主張するが、「放牧」とは、放し飼いをいい、したがって、それは草を食みながら移動するという意味内容を有するものであるから、馬の「運動」に有用であることが、即「放牧」の内容をなすひのではない。確かに本件土地のように、飼料となるべき草は生育していないが、馬の飼育のためにこれをその運動の場所として確保することが有用な場合もあろうが、かかる土地が、その形状にもかかわらず採草放牧地として評価されるのは、それが本来採草放牧地である土地に付随し、これと一体となっており、それだけを左採草放牧地と区別して問題とすることが前識に適合しないような小部分である場合に限られるというべきで、本件の如く、本来的意味で採草放牧地と評価される前記三筆の土地の面積が、全体の四割にも満たない場合に、六割強の面積を有し、本来非採草放牧地である該四筆の土地を、右三筆の土地に付随し、これと一体のものとして採草放牧地と評価することは、とうてい許されないというべきである。(なお、該四筆の土地は、その北側部分が一部前記段差の上にまで達しているようであり、その部分はむしろ前記三筆の土地の形状に類似しているが、該四筆の土地全体からすれば極めて小さな部分であり、しかもハマナスが群生している状況であるから、とりたててその採草放牧地性を問題にする必要はない。)

以上の次第で、該四筆の土地すなわち浜厚真五八一、五八二、五八三および清住一の各土地は、農地法にいうことはできないから、これを北海道知事の許可あるいは法定の除外事由のないまま売買しても農地違反にならない。

従って被告人大成観光、同兼松、同大成総業、同山岡、同八嶋に対しては、右被告人らの関与した主文五項掲記の浜厚真五八二の土地の所有権移転についての農地法違反(A)事件については刑事訴訟法三三六条により無罪の言渡をする。

しかし右被告人白熊総業、同阿部伸一の関与した同土地の被告人大成総業から同白熊総業への所有権移転(B)(F)被告人白熊総業および同阿部伸一の関与した同土地の被告人白熊総業から三国興産株式会社への所有権の移転(G)被告人大成観光、同兼松、同大成総業、同山岡、同八嶋の関与した浜厚真五八一および清住一の土地の山下境次から被告人大成総業へ(C)、大成総業から有限会社宝栄商事へ(E)の各所有権移転、浜厚真五八三の土地の飛渡孝市から被告人大成総業へ(D)、大成総業から有限会社宝栄商事へ(E)の各所有権移転、にかかる各農地法違反被告事件、および被告人宝 一商事、同高橋勇の右浜厚真五八二の土地の被告人大成総業から白熊総業へ(H)、白熊総業から三国興産株式会社へ(I)の各所有権移転、浜厚真五八一、五八三および清住一の各土地の被告人大成総業から有限会社宝栄商事へ(J)の所有権移転の仲介にかゝる各農地法違反幇助被告事件にねいては、いずれも前掲「罪となるべき事実」で認定した各罪の一罪の一部として起訴されたものと認められるから、これらについては主文において特に無罪の言渡をしない。

昭和五二年三月二四日

(裁判長裁判官 渡部保夫 裁判官 田中康郎 裁判官 宮森輝雄 裁判長裁判官渡部保夫は海外出張のため署名押印できない 裁判官 田中康郎)

別表

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